2023/12/19 15:38

こんにちは。

今回、久しぶりにウッドプレートを作ったのでそのご紹介です。
材料は「欅」、北海道ではあまり馴染みのない材料だと思います。
小樽にある「鰊御殿」の梁や柱が迫力あるケヤキ材なのが有名ですね。

ウッドプレートは、旧拓殖銀行小樽支店のホール腰壁に貼られていたケヤキの一枚板から作りました。
この銀行は、大正12年(1923年)に建てられた石造りの重厚な建物です。(現似鳥美術館)
つまりこのケヤキの板は、材料になって今年でなんと100年ということです。



この「百年ケヤキ」、なぜ私の手元にあるのか説明します。

35年前に小樽で家具工房を始めたばかりの頃、
知人から「旧拓殖銀行小樽支店の中を解体してホテルにするらしいけど、手伝いに来ない?」
と連絡があり現場に行き、その内装に使われている材料を見て驚きました!!
内装材のほとんどが、高級なケヤキやナラ材ばかりが贅沢にたっぷりと使われていたのです。
作業を始めると「オーーッ、凄い!すごーーい!!」と感心ばかりしてぜんぜん仕事が進みません。
剥がした板の裏を見るとピタッ!手が止まってしまうのです。
そこに超絶技巧の凄い職人技があるのです。
大正12年頃だと機械もまだそんなにないはず、ほぼ手作業で作っていたと思います。
聞くと全国から腕利きの職人が集まって技を競っていたそうです。
まだ駆け出しの家具職人にとっては、材料のすべてが宝の山でした。
でもその解体した材料のほとんどが廃棄処分になるとのこと。
ケヤキとナラを何枚か頂いて来ました。
が、なぜか今までずーっと工房に眠っていたのです。
今回やっとその100年目の欅を、シンプルで美しいウッドプレートにしました。
はたしてあと何年・・・?
長く長く使っていただけるよう願っています。

家具工房KATSU katsu